電動アシスト自転車に乗るとき、ヘルメットは義務なのでしょうか?
道路交通法では、非電動の自転車を含め、自転車に乗る人のヘルメット着用を「努力義務」と定めています。
努力義務とは「できるだけ、そうしなければならない」という意味です。対して、バイクやフル電動自転車(漕がなくてもモーターの力だけで走行できるもの)では明確に義務づけられています。
電動アシスト自転車では、努力義務であるため、着用しなかった=違反したからといって、罰則があるものではありません。
その意味では着用しなくても良いと言えますが、やはり、着用しておいたほうがいいでしょう。というのも、ヘルメットの有無は、万一の事故の際のリスクを大きく左右するからです。
警視庁の発表によると、自転車事故で死亡した人の人身損傷主部位(致命傷となった傷の部位)は、その6割近くが「頭部」だったということです。つまり、自転車の事故で亡くなる人の半数以上が頭のケガで亡くなっているということ。
加えて、事故の際、ヘルメットを着用していなかった場合の死亡の割合が、着用していた場合と比べて2.1倍高くなっています。
このデータからも、ヘルメットを着用しないことは大変リスクが高いことがわかります。
自転車乗用中の死傷者は年間6~7万人ほどいるとされていますが、そのうち7%程度が13歳未満の子どもです。地域によっては、子どもが自転車に乗る場合、ヘルメットをかぶらせることを親に促す条例を定めているところもあるようです。
条例の有無にかかわらず、子どもが自転車に乗る場合は特に、ヘルメットの着用を徹底し、安全を守りたいものです。
ヘルメットはカッコよくないという理由で避けたいという人もいるかもしれませんか、お伝えしたとおり、安全のためにはぜひ着用していただきたいところです。
最近は機能面とデザイン性を兼ね備えたものも登場してきています。
価格は1,000円程度~数万円と幅広いですが、おおむね1万円以内で十分なものが手に入るでしょう。
では、数ある商品の中からは、どのように選ぶのがいいでしょうか。ヘルメットを選ぶポイントを見てみましょう。
何よりも重視したいのは安全性です。どんなにカッコよくても、安全面で問題があればヘルメットを使う意味がありません。
安全性をはかるうえで目安となるのが、各種団体が認定している基準に合致しているかどうかです。
たとえば、一般社団法人製品安全協会が制定した安全性・実用性の基準を上回った生活用品には「SGマーク」が付与されているので、一定の基準をクリアした製品であることがわかります。
ほかにも、以下のような安全性を示すマークがありますので、注目してみましょう。
マーク | 認定団体など |
---|---|
SGマーク | 一般財団法人製品安全協会 |
JCF公認マーク・JCF推奨マーク | 日本自転車競技連盟 |
CEマーク | 欧州標準化委員会 |
CPSCマーク | アメリカ合衆国消費者製品安全委員会 |
ヘルメットが使う人に合ったものを選ぶことが大切です。
サイズが合わなくて正しく装着できないと、事故などのときに外れやすかったり、十分に頭部を守れなかったりするため、安全性が低下するだけでなく、それ自体が無用の危険を引き起こすことにもなりかねません。
サイズ感やフィット性を確かめるには、店頭で実物を手に取って、実際に試着してみることがいちばんです。また、正しい着用方法についても、お店のスタッフに確認しておきましょう。
やむをえず、店頭でのフィッティングをせずに購入する場合は、着用者の頭のサイズを知って、適合するものを選びましょう。
頭のサイズは両眉と両耳の上端4か所を通る位置にメジャーを一周させることで正しく測ることができます。
また、形状にも注意してください。ヘルメットの形状は、内側が円形の「アジアンフィット」と、楕円形の「ヨーロピアンフィット」があります。アジア系にはアジアンフィットのほうがフィットしやすいとされているので、特に海外製品を購入するときは形状にも注意してみてください。
安全性とサイズ・フィット感をクリアしたら、あとは、使いやすいものを選ぶとよいでしょう。
使いやすさはさまざまな観点がありますが、自分にとって、どうであれば使いやすいか、利用シーンなどから考えてみてください。
日中や夏季に使用するなら、通気性に優れた素材・構造のものを選べば、汗ムレを防いで快適に利用できます。
利用時間が長いなら、できるだけ軽いもののほうが疲れにくいでしょう。
折り畳みタイプの製品もあります。折り畳んでカバンなどに入れることができれば携行しやすいですし、盗難も防げます。
着用しないとき、携帯しないなら、自転車にヘルメットホルダーを取り付けたほうがいいかもしれないので、合わせて検討してください。
ここまで紹介したような機能面をチェックしたうえでなら、デザインにもこだわりたい、好みのテイストのものを選びたいというのも悪いことではありません。機能性に優れ、かつ、カッコいいヘルメットが手に入れば、自転車ライフがもっと楽しくなるはずです。
[自転車マメ知識] 2024年2月26日